TOP  読書覚書

読書覚書
最新
2008年後半
2008年前半
2007年後半
2007年前半
2006年後半
2006年前半
2005年後半
2005年前半■
2004年後半
2004年前半
2003年
2005/6/30妖怪大戦争 荒俣宏 Kwai books 角川書店 Amazon.co.jp
映画『妖怪大戦争』のノベライズ。雑誌『怪』における水木しげるの漫画連載、映画(夏公開)、小説とメディアミックスな展開。 しかも、妖怪会議(妖怪大戦争の試写有)の応募券付きということで、すべてが連動している。妖怪ファン水木ファンはこの本を買わざるを得ない。 これでゲームとアニメになれば完璧。
もちろん妖怪大戦争は映画を中心にまわっているわけで、残念ながら、このノベライズに関しては、時間もない中での進行だったことを感じさせる仕上がりとなっている。 しかし、ストーリーはもちろん妖怪たちなど、映画の雰囲気を感じることができて楽しかった。
2005/6/19生首に聞いてみろ 法月綸太郎 角川書店 Amazon.co.jp
タイトルにあるように「生首」は出てくるのだが、いわゆる最近流行の猟奇的な事件ではない。人死にも少ない。 猟奇、大量死ばかりを扱う(そうしないと売れないとか?)傾向がある最近の長編ミステリに一石を投じたもののように思える。 なんと言っても書き方がフェアだし、ミステリとしてきちんとしているなあという印象。 パズルとしては物足りないが、十分楽しんだ。
2005/6/16神保町の怪人 紀田順一郎 東京創元社 Amazon.co.jp
初期の小説に出てきた人物を再アレンジして使用していたりしている。 大御所に向かってとても偉そうなのだが、ストーリー的にも洗練されてきたような気がする。 これが本当だったらビブリオマニアって本当にこわい。古書収集の極意は殺意って…。
2005/6/12阿修羅ガール 舞城王太郎 新潮文庫 Amazon.co.jp
調布もの(と勝手に呼ぶ)にしては相当面白い。 破綻するぎりぎりのブンガク。「世界の片隅(調布)で愛を叫んでいる」という感じ。
2005/6/11赫い月照 谺健二 光文社文庫 Amazon.co.jp
神戸の地震や事件など社会的なことも含めつつ、暗号、猟奇的事件、小説内小説、叙述トリックといった本格ミステリ的な要素、精神医学的な要素などがなんでもかんでも詰め込まれた一冊。 その結果が900頁か。ううむ。ただ、どれもこれも中心を成すものではなく、どうにも意識が拡散してしまって印象がぼやける。 内部小説『赫い月照』が夢野久作を思わせる循環形式だったり、残酷な主人公がもうちょっとで魅力的になりそうだったり、どうにも惜しいと思う箇所はたくさんあるのだが。
笠井氏の大量死大量生についてのあとがきはいつも通り。
2005/6/4ヘルタースケルター 岡崎京子 祥伝社 Amazon.co.jp
全身整形によって作り上げられたモデルのりりこが壊れて使い物にならなくなっていく話。 よくある美容整形の怖さについての社会的なお話しではないし、弱い主人公がただ壊れていくだけの話でもない。 この場合、なぜそこまでやるのか、ではなく、なぜそこまでやらなければならなかったのかについて考えるべきだと思う。 なんというか(他の作品と同様)映画的で引用的だったりもするのだが、それらをどうやって自分のものにするかというのは、ものを作る人間にとって意識的でなければならないと思う。 その点岡崎京子はやっぱりすごい人だ。
2005/6/4庵野秀明 パラノ・エヴァンゲリオン 竹熊健太郎(編集) 太田出版 Amazon.co.jp
もう10年近く前なのだ。この本、当時の状況を思い出す意味で貴重かも。
2005/6/4庵野秀明 スキゾ・エヴァンゲリオン 大泉実成(編集) 太田出版 Amazon.co.jp
なぜ今頃という感じなのだが…。
2005/5/29白澤 人工憑霊蠱猫02 化野燐 講談社NOVELS Amazon.co.jp
妖怪小説としてもキャラクタ小説としてもずいぶんと安定してきた気がする。蠱猫の視点ではないからかも。次も楽しみ。
それにしても、妄想記述言語(HDMLって携帯用の言語であったなたしか)とは、マークアップ言語というからには、タグ付けして論理構造を記述する言語? これが怪しげな言葉(単語そのもの?)を記述することとどう関わってくるのかがよくわからない。 栞を見る限り、どちらかというとXMLの考え方、もっと言うとベクターグラフィック言語のSVGとかに近い気がするのだけれど。
2005/5/29なんでもない話 青木玉 講談社文庫 Amazon.co.jp
お洒落スローライフやなんちゃってスローライフなどではなく、ほんとうのスローライフを生きる人の書いたお話。 一年間新聞に連載されていたので、季節に沿ってお話しが進む。知らない行事や食べ物(料理)なんかがあって面白い。 でもこういうことってどんどん消えて言ってしまうのだろうなあ…。
2005/5/26新本格魔法少女りすか 1、2 西尾維新 講談社NOVELS Amazon.co.jp
最近多くのメディアで、萌え、キャラクタ小説、戦闘美少女などについて語られ分析されている。 この本の何がすごいかというと、それらを意図的に使用して書かれているという点。つまりとてもデータベース的なのである。 ストーリーはまるでデータベースやXMLで言うところのスキーマに従って築されているようだ。 変身=大人への成長、ヒステリー化、成熟への拒否など。 主人公の供犠創貴(くぎきずたか)という名前からは否応なしに外傷を連想させられる(実際に傷付くことによって戦闘で勝利を得るという意味も持つが)。 もう一方の主人公「りすか」の名前から連想されることが明らかなように、彼女は自らの血を流すことで戦いに勝利する。 戦う理由(明らかにはされていない)を持つ少年と戦う理由を持たない魔法少女――「魔法使い」使いと魔法使いという組み合わせは、少年ヒーローものと魔女っ子ものの合体でもある新しい形態を提供してはいないだろうか?
意味のない(私には感じられない)、リズム感の悪い棒引きがすごい気になるし、文章も気になるが、ある試みとして評価したいと思う。
2005/5/21うたかたの日々 岡崎京子 宝島社 Amazon.co.jp
ボリス・ヴィアンの小説(訳は早川書房の伊藤守男)を岡崎京子が漫画化。 スケート場とか結婚式とか新婚旅行とか医者のこととか細かい部分は省略してあるが、わりと忠実に漫画家していると思う。水道管から顔を出す鰻はイメージ通り。 ニコラのぶっとびぐあいは意外だったけどよい味を出している。 いろいろな思いがこみ上げてきて泣く。
それにしてもこの装幀、表紙のフォントとかページの四隅を丸くしたりと凝っているのはよいのだが、函がしょぼい。せめて表紙はクロス貼りにしてほしかった。
2005/5/12戦闘美少女の精神分析 斎藤環 太田出版 Amazon.co.jp
日本のマンガやアニメの中の少女はなぜ戦うのか、について考察・分析している本。 『〜という現象から「今、女の子が元気である」という現実を捏造してはならないのだ(P256)』。その通りだと思う。そんなに単純ではない。 氏曰く、虚構と現実(実際にはこれも虚構)の間を行ったり来たりできるのがおたくで、虚構にリアリティを与えるのがセクシュアリティ。 なるほど、(本質的に)戦う動機を持たずどこまでも空虚な存在である戦闘美少女に対して「萌える」という言葉を発見したということが、おたくが覚醒的であることを示しているのだと思う。
ちなみにこの本、戦闘美少女のカテゴライズ、海外おたくからの手紙、ヘンリー・ダーガーの分析など、構成が面白い。 巻末のアニメを中心とした年表も村上隆の装幀も十分に分析的な本だということを示している。
2005/4/30鋼の錬金術師 8巻、9巻 荒川弘 ガンガンコミックス スクウェア・エニックス Amazon.co.jp
エドとアルというよりも、炎の錬金術師マスタング大佐のエピソードである。 その中で殺人魂定着鎧のバリー・ザ・チョッパーがよい味を出していた。また魅力的な登場人物が消えていくわけだが、それで風呂敷を広げすぎないで済んでいるのだと思う。
それにしてもなぜエドだけが(このタイミングで)砂漠の遺跡に行ったんだ?まあ、次のエピソードにつなげるためのパン粉の役割なんだろうけど。
2005/4/11第三閲覧室 紀田順一郎 新潮社 Amazon.co.jp
そこここに出てくる書誌学的な話が面白い。どうやら蒐書狂の陥る蒐書地獄というのが紀田氏の小説の一貫したテーマらしい。 しかし、登場人物が魅力的ではない上に、ミステリとしては弱い(過剰に期待していたので、そう感じたのかもしれない)。 新興の大学の内実を描く社会派小説として読むと面白いのかも。 登場人物の崩壊した家族関係など、話に埋もれてしまってはいるが、エピソードの端々に社会の裏側が描かれているし。
2005/4/5幻書辞典 紀田順一郎 三一書房 
書籍を巡る物語。登場人物に没入するタイプの小説が全盛な時代に、主人公の地味な感じに違和感。毒されてるのかなあ。 あっけない結末にも意表を突かれる。でもそれによって「本を蒐集するということ」に入り込むことの怖さは十分に伝わってきた。 ただ、古本探偵という設定がちょっともったいない気もする。
2005/4/2もっけ(勿怪) 1〜4 熊倉隆敏 アフタヌーンKC Amazon.co.jp
お化け(もののけ)が見える姉妹が主人公。姉には存在が見えて、妹には憑いてしまうという設定がよい。しかもお祖父ちゃんは落とす人。 所謂憑きもの筋の家族のお話しなのだが、そこに付きものの陰湿さとか、特別な感じがないのは、漫画ならでは。 特に姉の方は、もののけとの関わりについて悩みつつ、それを乗り越えて普通に成長していく。 このお話の主題は、もののけという非日常を通過するための通過儀礼(=ジュブナイル)なのだと思う。
2005/3/31窯変源氏物語 7 橋本治 中公文庫 Amazon.co.jp
一冊ほとんど玉鬘(源氏のライバルである内大臣の隠し子、源氏が見つけ出して隠している姫)。彼女が世間を知らないことをいいことに、とんてもないセクハラが繰り広げられている。 「それでよいのである、なぜなら私は光源氏だからね」という理論。
もう一人の内大臣の隠し子、近江の君の桃尻語には笑う。これは原典を読まねば。
2005/3/29蒲団・一兵卒 田山花袋 岩波文庫 Amazon.co.jp
あらゆる私小説(日本的自然主義)の元凶というか宗祖というか。 私小説というものは読者にシンパシーを感じさせられるかどうかにかかっていて、 それは逆に不快や反感や嫌悪であっても与えられることができればある意味成功だと言えるのだと思う。 『一兵卒』の方は死んでいく自分の描写がかなり怖い。こういう手法はむしろ内的な恐怖の観察と叙述に向いている。 恐怖も自然の一部であるからこれは当然なのか。
2005/3/24カッパの飼い方 1〜3巻 石川優吾 集英社ヤングジャンプ・コミックス Amazon.co.jp
妖怪ではなく生物として描いたカッパ。 頭にお皿があって緑色で相撲が好きで時に尻子玉を抜く…というみんなが知っている属性は継承している。 なんだろうな、この変な感じ。 絵が特別かわいいわけでもないし、最初、どういう風に読んだらよいのかちょっとわからなかったのだが、気が付いたらはまっていた。 変なギャグが入っているのも許せるようになってきたし。っつーか、カッパ飼いたいよ!
2005/3/18蠱猫 人工憑霊蠱猫01 化野燐 講談社NOVELS Amazon.co.jp
妖怪図譜や白澤データベースを巡る話。まだまだ始まったばかりだというのが嬉しい。 向こう側の世界に入り込んでしまった時の、幻想的な記述が秀逸。 長い廊下や広大な座敷を朦朧としながら歩き回るところとか、蠱猫に改造されてゆく過程とか。 あやかしたちが集合する中を堂々と歩む白澤に感動。小さい白澤が欲しい。
2005/3/520世紀少年 18 浦沢直樹 小学館 Amazon.co.jp
ケンヂ復活までずいぶんと引っぱってる印象。 "ともだち"の正体で急展開があったから間延びしないで済んでいるのかも。
2005/2/25ぼくたちは何だかすべて忘れてしまうね 岡崎京子 平凡社 Amazon.co.jp
ストレートで残酷で投げやりな物語たち。絵のイメージが浮かぶ。まぎれもない京子さんの表現だ。 自分の気持ちとか置かれてる状況とかを何とかして綴りたい日本の作家たちには書けない文章だと思う。
2005/2/20死者の体温 大石圭 角川ホラー文庫 Amazon.co.jp
ブンガク(といういか私小説)をやりたいのならば、他でやってほしい。そうすれば私などが手に取ることもなかったろうに。 Excuseが多すぎるし、感傷的になりながら人殺されても興醒めなだけ。 後書きにターニングポイントになった作品と書いてあったけど、登場する記号や根底にあるものが湘南人肉医と同じという意味で納得。
2005/2/20湘南人肉医 大石圭 角川ホラー文庫 Amazon.co.jp
タイトル通り、人を食う話。 殺人鬼の一人称で語られる物語というと「アメリカンサイコ」が凄まじくよい出来なので、ついつい比較してしまいがちのだが、こちらは読後感さわやか。 二人称による被害者視点への切り替えがラストに大きな効果を与えている。これは面白い。 ただ、時々挟み込まれているエピソードによって、行為に対する正当性が強調されすぎている点が残念ではある。 だからこそ、さわやかな印象で終われているんだろうけど。
2005/2/19レックス・ムンディ 荒俣宏 集英社文庫 Amazon.co.jp
まわりで話題になっていたので読んでみた。グラハム・ハンコックや高橋克彦(ナントこの本の後書きを書いている!)を読んでいたので、 それほど飛躍は感じなかった。バイオホラー系の展開はどうかとも思うが、 ストーリーとかはこの際関係なく、知識レベルとして読むと面白いのではないかと思う。 裏歴史系ねた盛りだくさん。そのうち「レンヌ・ル・シャトーの謎」を読んでみようと思う。
2005/2/13BATTLE ROYALE II 鎮魂歌 杉江松恋 太田出版 Amazon.co.jp
権力とか体制とかを出してくると、こういうことになってしまうという見本のようなお話し。パート2の宿命なのか。 訳も分からずに殺し合いをするだけのお話しというところが面白いのだと思う、結局。
2005/2/10白波五人帖・いだてん百里 山田風太郎 徳間文庫 Amazon.co.jp
黙阿弥狂言『白波五人男』をばらばらにして構築し直し、史実とトンデモで味付けした短編連作。 勿論「知らざあ言って聞かせやしょう―」もいいところで聞ける。 浜松屋が出てくるまえにメンバが死んでしまったのでどうなることかと思ったけど、さすがは風太郎、ちゃんとパーツとして組み込んでいる。
2005/1/22心臓抜き ボリス・ヴィアン ハヤカワepi文庫 Amazon.co.jp
単語や色など、いろいろなものに意味がある。意味の洪水。解説を読んでさらに気付く。 こういう時にフランス語ができるといいなあと思う。 「 うたかたの日々」に出てくる「心臓抜き(心臓ばさみ)」という機械は最後まで登場しなかった。ここでも象徴的な意味として使用されている。
2005/1/11理由 宮部みゆき 新潮文庫 Amazon.co.jp
現代の"家族"というものに潜む危うさ、超高層マンションの閉鎖性と虚実、人間関係の空恐ろしさを描いた社会派ミステリ。 事件関係者へのインタビューという構成もあるが、 殺人事件から派生した目撃譚が都市伝説になったり、なんらかの形で事件に関わりたいという深層心理が描かれることによって、リアリティが増しているんだと思う。