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2005/11/15レンヌ・ル・シャトーの謎 マイケル・ベイジェント他 柏書房 叢書ラウルス Amazon.co.jp
『ダ・ヴィンチ・コード』でお馴染みの"あの謎"を扱った本。 というかすべてのこの手の本のネタ本というべきか。 ちょっと急いで読み過ぎてしまった気もするが、それだけ面白かったということで。 扱う内容が内容(特にキリスト教社会では)なだけに、構成を考えに考え抜いて、なんとか"あの結末"に持っていこうという努力が見られる。 そのためか、巧妙かつ周到なミスリードを誘うような文章に感じられることもあり、 途中これ自体が「プリウレ文書」と言えないこともない、などと思いながら読んでもいたのだが。 しかし、世界には秘密があった方がだんぜん面白い。
2005/10/29小説真夜中の弥次さん喜多さん しりあがり寿 河出文庫 Amazon.co.jp
映画のノベライズだと思っていたら違って、どうやら漫画→小説という流れのよう。 「リアル」を追求する話、というと何だかすごく胡散臭いし、今さらリアルなんてものを真面目に扱うのってどうよ?的に斜めに見ることもできるのだが、 あまりにシュールな展開に頭の中が拡散していき、そんなことはどうでもよくなってくる。 ぺらっぺらな江戸からリアルな(はずの)お伊勢様に向かう道中の「宿」で起こる出来事を短編にしたものではあるが、実は話の筋などはどうでもよい。 最初には映画のあの二人が頭に浮かんでいたのだが、最後には弥次さん喜多さんという存在自体が象徴的なものに思えてきたのだった。
2005/10/24NANA 1〜13巻 矢沢あい 集英社 りぼんマスコットコミックス―クッキー Amazon.co.jp
バンド系の話というと、一昔前のパンクものとか二昔のアイドル系を思い出してしまうわけで、ついつい手を出さないで今頃まとめ読みしているわけだが、 読んでみるとなんだかすごくリアリティのある物語が展開されている。お洒落なアパートとか家具屋といった小道具的な要素はまあ置いておいて、 特に小松奈々の心理的な不安定さ、うつろいやすさ、あやふやさがリアリティを醸し出しているのだと思う。
2005/10/22All You Need Is Kill 桜坂洋 集英社スーパーダッシュ文庫 Amazon.co.jp
戦場で死んだとたん、出撃前日に戻る。繰り返されるループの中で主人公が決意したことはループを抜け出して生き残るために戦場の犬になること。 戦局を有利に運ぶために過去に向かって情報を飛ばすというSF的な発想も面白い。この手の話にしてはすごく辻褄が合っている。 当然ループに2人の人間は要らないわけで、そこらへんの"SF的事情"から生み出される物語がまたよいのである。
2005/10/14生きることを学ぶ、終に ジャック・デリダ みすず書房 Amazon.co.jp
2004年8月デリダが亡くなる2ヶ月ほど前に「ルモンド」氏に掲載されたデリダ最後の対談。 最後の対談ということで、過剰に意味を探そうとしている自分に気付く。 この本のタイトルもそうだし、あちこちに"生"という記号がちりばめられているような気がしてならない。
「…生き残りとは、単に残るもののことではなく、可能な限り強烈な生のことなのですから」
最後のページでちょっと泣きたくなった。
2005/10/5ミステリ・オペラ 上下 山田正紀  ハヤカワ文庫 Amazon.co.jp
そう、世の中には探偵小説でしか語れない真実もある。
戦中の満州とその50年後というふたつの時代で起きた事件を語ることで、 そして量子的な多世界という概念の導入によって、さらには書き継がれていく探偵小説という形式によって、メタミステリが構成されている。 現実の事件が探偵小説のようで、探偵小説の中が現実のよう…。 最後には探偵自身が探偵小説であることを理由に特別なことを為す。 それによって探偵小説そのものが否定されるという構造になっている。 笠井氏の後書きにあるように過剰なまでに探偵小説である。
2005/10/5きょうの猫村さん1 ほしよりこ マガジンハウス Amazon.co.jp
インターネットの会員専用コンテンツから飛び出したヒット。猫家政婦の猫村ねこさんのお話し。 猫村さんの歌の節(はぁ〜♪)や、他人に対するちょっとずれてるんだけど(何しろ猫だからね)優しい接し方などが、 鉛筆画のぼーとした感じにマッチして、脱力しつつも胸の底が暖かくなる感じ。 がんばれ猫村さん、坊ちゃんに会えるその日まで!
2005/9/3紅一点論―アニメ・特撮・伝記のヒロイン像 斎藤美奈子 ちくま文庫 Amazon.co.jp
まずはアニメの男の子の国(戦争ばっかしてる技術大国)と女の子の国(恋愛にかまけてばっかの魔法の国)を平等にばっさり斬ることから始まって、あとはもうばっさばっさと斬りまくり。 フェミニズムがどうのとかではなく、視点を変えてみることは新鮮である。
たとえば特撮やアニメの紅一点〜紅複数〜おんなこども混成チーム(たとえば『ヤマト』『ガンダム』『エヴァンゲリオン』という流れ )に至る歴史として見るだけでも結構面白い。 ちなみに「組織の力学」という章では、 「エヴァンゲリオンがなぜ収拾付かずに終わったのか。それは、本来男の子の国として完結していたところにおんなこどもを引き入れたからである」 というような考察がされている。なるほどこれは別の方向から見た真実の一面であろう、と思う。
2005/8/22メフィストの漫画 喜国雅彦 国樹由香 講談社 Amazon.co.jp
メフィスト誌に連載していた喜国の『ミステリに至る病』、作家たちのペットが登場する『あにまる探偵団』などの漫画に、 山口雅也氏との鼎談をつけたお得な一冊。 いや、大爆笑。ミステリカードゲームやりたい。攻撃系カード「函欠け」でポイント3分の1とか、防御系カードが「パラフィン」って…。 作って売ってくれたら絶対買いますから。喜国さん、お願いします。
2005/8/20ぶち猫コヤバシ、とら猫タネダの禅をさがして アンリ・ブリュネル著 クリスチャン・ルウ画 ハヤカワ文庫JA Amazon.co.jp
禅についての本なのだが、主人公が猫で、しかも僧侶。しかも書いているのはフランス人。その時点で不思議だ。 またイラストが内容とマッチしていて実に力が抜けるような感じ。
まだ悟りきっていない師匠のコバシ(しょっちゅう怒ったりしている。コバヤシではない点に注意)、のほほんとして考えることをしない小僧のタネダの絶妙なコンビ。 まあこれは悟りへ至るまでの別アプローチの表現だとも云える。 時系列がめちゃくちゃな俳句の引用の中に、キリスト教の聖人トマス・アクイナスの言葉があったりして面白い。 そして最後には、抽象的なラスト(禅的ではある)が待っている。
2005/8/19サマー/タイム/トラベラー 1、2 新城カズマ ハヤカワ文庫JA Amazon.co.jp
ライトノベルの体裁を取ったSF。青春タイムトラベル小説とでも呼ぶべきか。 宇宙戦争などの派手なSF的事件も起こらない。また2巻目の途中まで事件らしい事件は何も起こらない。いや、結局何も起こらなかったとも云える。 しかしながら引いている書籍や人名など情報量が非常に多いのが特徴。 もちろん全部リファレンスとして物語の伏線となっているのだが、ライトノベルとして全部読み飛ばすことも可能。 **年後の現在、未来から見る現在進行形の現在、現在進行形の現在から振り返る過去のように、タイムトラベル的な記述方法が独特の浮遊感を出している気がする。
2005/7/31鋼の錬金術師 11巻 荒川弘 荒川弘 ガンガンコミックス スクウェア・エニックス Amazon.co.jp
何故鎧に定着したアルの魂に記憶があるのか、そして何故エドの背は伸びないのか。最初から織り込み済みだったのかどうかはわからないが、終局に向かって整合性はとれてきた気がする。 さて、真理とはなんぞや。
2005/7/17MPD‐PSYCHO/FAKE―多重人格探偵サイコTV 第1巻 許月珍 角川スニーカー文庫 Amazon.co.jp
TV版のノベライズ。許月珍=大塚英志だと思う。 あとがきにもあるが、小説版の多重人格探偵サイコとは異なり、終わらない昭和(1999年)という架空の世界が舞台になっている。 既存の登場人物や事件を使って、別の話を紡いでいるという感じ。
2005/7/14渾沌王 人工憑霊蠱猫 03 化野燐 講談社NOVELS Amazon.co.jp
これで最初の事件が完結。なるほどひとつの事件を多面的に読まない限り話が見えない構造になっている。 謎解きあり、アクションあり、登場人物に関するちょっとした仕掛けあり。最終巻にふさわしい勢いのある筆致であった。語り部がよかったのかも。 まだ行方不明の人物の謎が残っていたり、5年前の事件の謎もあったりするわけなので、しばらくシリーズ続きそうな感じである。楽しみである。
2005/7/8郵便的不安たち# 東浩紀 朝日文庫 Amazon.co.jp
サブカルチャーから文芸まで、書評や論文を集めた本。もちろん現在のポストモダン的状況についての考察が含まれている。 単行本版『郵便的不安たち』とは一部収録されているものが入れ替わっているらしい。 それにしても夏目漱石の読み方に驚く。今までエモーショナルな読み方しかしていなかったので。なんだか凄い。 この他、デリダやラカンを読むためのヒントみたいなものがあちこちに散りばめられている。
2005/7/7美人化計画 尾形未紀 あおば出版 Amazon.co.jp
キレイになるために体を張ったエッセイ漫画。ためになる話あり、役に立つ話あり、爆笑ネタあり。ベルばらメイクは一度やってみたい!
それにしても漫画家さんって自分をブサイクに書きすぎ。その方が面白いからだろうけど、私が知っている漫画家さんたちは実際にはもっとかわいい(と思うぞ)。
2005/7/4監督不行届 安野モヨコ Feelコミックス 祥伝社 Amazon.co.jp
安野モヨコが庵野秀明(日本のオタク四天王)に嫁いで完璧なオタヨメに近付いていく姿を描いている。 要するに新婚さんの話なのだが、単なるのろけ話になっていないのがよい。
それにしても大変そうな旦那さま。子供な上に乙女って…。
2005/7/2はたらくカッパ 逆柱いみり 青林工芸舎 Amazon.co.jp
そこにあったので読んでみた。独特の絵。 なんだろう、すごく変な夢の中のお話しのよう。悪夢でもなく楽しい夢でもない、でもずっと見続けていたいような夢。 「カッパの飼い方」と同じくステロタイプのカッパではなく、潜水艦で蛸を捕るために働いているカッパ。 何かの間違いで潜水艦に就職した(させられた)女の子がカッパとキュウリを買い出しに陸に上がって延々と変な世界を巡るというストーリー。
2005/7/220世紀少年 19 浦沢直樹 小学館 Amazon.co.jp
帯にある通り、確かに終局へのターニングポイントなんだろうなあ。「ともだち」(入れ替わった?)の体制は綻びを見せ始めているし、風呂敷をたたんでいこうとする様子がうかがえる。