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注意:書評ではなく覚書です。ほんの一部ですがネタバレがあると思われますので読む人は注意してください。敬称略です。

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2006/6/25 マジックサークル 上下 キャサリン・ネヴィル  学習研究社 Amazon.co.jp
デビュー作『8(エイト)』と同じように、古代から続く世界の謎を現代の冒険に絡めて物語が進行する。『ダヴィンチ・コード』にも通ずるキリストの秘密やメロヴィング王家の秘密、ピュタゴラス神秘教団、ドゥルイドといったケルトの宗教、中央アジアの謎の人々などなど…わくわくさせられる要素がぎっしり。しかし、サスペンスとして善悪が逆転する展開は面白いし、あちこちに鏤められている世界の秘密にしても読んでいる途中は面白いのだが、やはり最後に「それだけかよっ」と言いたくなる。主人公の秘儀参入の物語と言ってしまえばそうなのだろうけど、風呂敷広げすぎ。
2006/6/11 嫌われ松子の一生 上下 山田宗樹 幻冬舎文庫 Amazon.co.jp
思っていたほど悲惨な人生ではないというのが正直な感想。いや、もちろん絵に書いたような(というか文章に書いてある)転落人生ではあるけれども。たったひとつの事件がきっかけで転落が始まったような印象だが、こういう人は遅かれ早かれなんらかの契機で転落していただろう。ただ、場当たり的ではあっても懸命に生きていたからこそ、松子のことをみなが覚えているし、その人生を知りたいと思うわけだ。ソープで働こうが、男を見る目がなかろうが、徹底的に生き、愛し抜くことができていたことは幸せだ(少なくともこの物語の中では)。どうしようもなく悲哀を感じさせられるのはニートの中年女(=嫌われ松子)という存在なのではないか。この場合彼女が“物語”になること、それ自体が救いとなっている。
2006/6/10 8(エイト) 上下 キャサリン・ネヴィル 文春文庫 Amazon.co.jp
たまに読み返したくなる本。シャルルマーニュのチェスボードに込められた謎を巡る冒険で、現在(といっても1970年代)とフランス革命時代の物語が平行して進む。大風呂敷が畳みきれていなかったり、主人公がなぜ選ばれたのかもわからなかったりと気になる点は多々あるのだが、そこらへんを差し引いても、歴史上の人物をうまく使っている点や、チェスの駒に見立てた登場人物がラストで集結して対決、大団円に向かうあたり、相当に面白い。〆の一言が残念。
2006/6/2 舞姫(テレプシコーラ) 1〜3 山岸凉子 MFコミックス ダ・ヴィンチシリーズ メディアファクトリー Amazon.co.jp
久々のバレエ漫画。とりあえず3巻だけ読む。長くなりそうな予感がする。わくわく。
2006/5/31 きょうの猫村さん 2 ほしよりこ マガジンハウス Amazon.co.jp
あまり進展はしていないが、ほんの少しストーリーが深くなって味わい深さも増した気がする2巻目であった。旦那さまと奥様のその後が気になる。そして「仲居探偵」シリーズが気になる。村田家政婦の人たちとインスタントコーヒーを飲みながらお菓子をぼりぼり食べながら見て見たいものだ。
2006/5/23 翼とざして アリスの国の不思議 山田正紀 カッパ・ノベルス Amazon.co.jp
まるでワープのように時間を移動し、次々に記憶を遡るという手法がSFっぽくもあり、おかげで今回も頭の中が拡散していくような筆致にはめられた。まさに謎が謎を呼ぶ展開そのものを楽しむための本で、あっという間に読み干してしまった。
死者が迷い込むといわれる南海の孤島に上陸する右翼青年のグループが主人公で、70年代という時代背景もあり、観念的な“殺意”というものも垣間見える。 挨拶代わりに登場した謎の組織「蠍」に期待。
2006/5/18 三島由紀夫のフランス文学講座 鹿島茂編 ちくま文庫 Amazon.co.jp
三島は方法論というものを追い求めずにはいられない人だったのだろう。 フランスの芝居と対比して、日本の歌舞伎や新劇の諸々(舞台芸術や演技も含む)について考察しているあたり、非常に面白い。 また、編者も書いているが、たしかにバタイユについて書いている文章を読むと、美(デカダン)に取り憑かれた人の"痛々しさ"が感じられて仕方がない。 つくづくこういう人が生まれない世紀になってしまったことを実感。
2006/5/12 黒魔館の惨劇 友成純一 光文社 Amazon.co.jp
友成は忘れた頃にやってきて、血しぶきと内臓を撒き散らす…。1990年頃に書かれたロンドンの幽霊屋敷が部隊の短編連作、文庫本で登場。 かなりグロではあるが、コミカルな部分も顔を覗かせる。 「200年かかって200人ちょいかよ。ふぅ。うっかり1000人殺すって悪魔に約束しちゃったけど失敗したなぁ。実体ないとつらいなぁ」みたいな幽霊の愚痴が笑える。
それにしても『ナイトブリード』の続きはどうなった?
2006/5/9 クリスマス・テロル―invisible×inventor 佐藤友哉 講談社NOVELS Amazon.co.jp
ポールオースターの『幽霊たち』を思わせる監視者と非監視者。それに「鍵のかかった部屋」(厳密ではないが所謂密室という概念)を引っ張り出してきて、 現代における存在の稀薄さという解釈を重ね合わせるという趣向が実に気持ち悪い。『姑獲鳥の夏』のように、人間には見たくないモノは見えないこともあるだろう。 要は説得力の問題だ。
作者によって語られていたはずの者からにゅーっと顔を覗かせて、増大(して | させて)いく大文字の「作者」という存在。それを方法論とは呼ぶにはあまりに稚拙だ。 脹らみすぎてしまった自我をこの作者はこの後どうやって収束させていくのだろうか。 これが単なるテロル(という名のパフォーマンス)であるならば、あれこれ書くだけあほらしい。 それともあれか、この人は「大文字の作者の消去」という遊びに参加したかっただけなのか。
2006/5/7 京極夏彦対談集 妖怪大談義 京極夏彦 角川書店 Amazon.co.jp
水木先生はもちろんのこと、夢枕獏、宮部みゆき、大塚英二といった物書きの方々、養老孟司、小松和彦、高田衛といった研究者等、さまざまな分野のさまざまな人たちと京極夏彦との対談集。 この本はすべての妖怪好きの人、歴史好きの人、民俗学好きの人、あるいはそれらに少しでもかかわる人たちに読んでほしい。 昨今の妖怪ブームの中で京極氏の果たしている役割はとても大きいのだということをつくづく感じさせられた一冊。 妖怪というキーワードによるカルチュラル・スタディーズの時代がついに到来したか。
2006/5/6 アースダイバー 中沢新一 講談社 Amazon.co.jp
この本を読むと東京が壊れてしまわない理由がわかる。我々の文化は破壊と再生への期待を持ち続けてきた。何しろ東京は鯰の上に構築されている都市だから。 東京という都市が持つ浄化能力を侮らないならば、本来在るべきではない場所に建つ巨大ビルなどは近い将来何らかの形で解体されてしまうのではないかと思う。
結論まで飛躍しすぎる気もするが、学術論文ではなくエッセイのような本なのでこれはこれでいいのか。 縄文地図を片手に散歩をしたくなった。
2006/4/11 トゥルーデおばさん 眠れぬ夜の奇妙な話コミックス 諸星大二郎 朝日ソノラマ Amazon.co.jp
グリム童話の諸星的翻案。あまりに面白かったので二度ほど繰り返して読む。「赤ずきん」は"誰が人狼なのか"を巡る謎解きだし、 「夏の庭、冬の庭」(美女と野獣)は"恋という魔法"を描いたシュールなおとぎ話(それは普遍的なテーマ)だし、 「いばら姫」は現代のホラーだし。一話一話が珠玉の諸星ワールドに昇華(消化)されている!もっと読みたい。
2006/4/4 新版 サイキック戦争II 虐殺の森 笠井潔 講談社文庫 Amazon.co.jp
こんなところに妊娠小説が…。妊娠SF小説。これは大発見だ。
2006/3/27 新版 サイキック戦争I 紅蓮の海 笠井潔 講談社文庫 Amazon.co.jp
ライトノベル装で再登場。竜王翔=矢吹駆、レジュー・ドール=ニコライ・イリイチだろう。そして、実在したクメール・ルージュとラ・モール・ルージュとの対比。 うん、こういうパターンは結構好きだ。 ただし単に並行移動しているわけではない。鉄壁の精神力を持つ矢吹とは違って、竜王の方は結構へなちょこだったりする。 ただし、(まだ自分の力ではどうにもならない)竜王の力を自分のものにすることで矢吹と同様の強さを手に入れるのだろう。 矢吹のような人間はたとえ竜王の力を持っていたとしても使わないだろうから。さあ、続きを読もう。
2006/3/16 件獣 人工憑霊蠱猫 化野燐 講談社NOVELS Amazon.co.jp
SF的な並行世界に移行するためのツールとしての「件」という発想が面白い。 予言する人の顔をした牛という妖怪を超えて、すでに時を司る神のような存在となっている。すごい。
それにしても今回は、データベースについて考えを巡らせたり、ボルヘスの「トレーン、ウクバール、オルビス・テルティウス」を引いたりと、寄り道の多い読書でもあった。 どうやら「何もないところから何かが生まれる」というのが最近の巡り合わせのようだ。
2006/3/10 もっけ 5巻 熊倉隆敏 アフタヌーンKC Amazon.co.jp
今回も恐ろしい話あり、ちょっといい話あり、笑える話あり。妖怪なのに人情味たっぷりのかまいたちがいい味出してる。最後にスッパリ切ることができてよかったね。
2006/3/9 水木しげる特選怪異譚 2 水木しげる 文芸春秋 Amazon.co.jp
「鬼太郎のベトナム戦記」「蓮華王国」「妖怪ロッキード」「鬼太郎対悪魔くん」の豪華4本立て。 歴史の陰に鬼太郎ファミリーあり!
「ベトナム戦記」は鬼太郎たちが民族解放戦線を助けるためにベトナムに赴く話。 鬼太郎はアメリカ側の美女妖怪に騙されたりしつつも、地味にアメリカ兵をやっつけたりしている。 その中で子泣き爺が潜水艦にしがみついて沈めるシーンは圧巻。実は影丸と影一族も参戦していたらしい(笑)。 しかし戦局は平行線のまま…。ベトナムの歴史などの解説を交えつつ話は進行するが、なんと突然ストンと終わってしまうのだった。 ラストで自らの血で染まった旗を掲げて焼け野原をサイゴンに向かうベトナムの少女。 背景の緻密さと相まって、悲惨で残酷という印象を超えた、わけの分からないやりきれない気持ちになる。
一方「鬼太郎対悪魔くん」戦争はまるで列国による戦争の縮図のよう。シュールなようでリアル。
2006/3/6 水没ピアノ―鏡創士がひきもどす犯罪 佐藤友哉 講談社NOVELS Amazon.co.jp
3つの物語が並行して進行する形式。前作とは異なるパターン。鏡稜子もいないし解決編もないが、それによって救いようのなさが強調されている。 「純愛」がテーマなのではなく「純愛は人を壊す」がテーマであろう。「純愛」とは「思い込み」すなわち「勘違い」のこと。痛い話だ。
○○が実は××だったというのは今回もあり。ただし今回はちゃんと「叙述ミステリ」として機能している(前2作とはそこが違う)。 3つのうちの1つの物語は全体の話とはほぼ無関係。気違い家族サーガに別の狂った家族のサーガが入り込んでいる感じ。 きっと別の本で書く予定なのだろうと思う。というかこのままで終わらせないでくれ。
2006/3/2 容疑者Xの献身 東野圭吾 文藝春秋 Amazon.co.jp
犯人当て・トリック当てを行う類の本(本格)として読んだわけではない。 本格であるか否かという論争についてはWebの情報を含めほとんど読んでいない(そういうのがあることだけ知っている)。 ただ私は258ページを読んだ時に全部分かってしまった。 それは東野氏がまさにそのページで分かるように書いたからなのだと思う。 読者に「フェア」に証拠を提供した上で「論理的な」解決を要求するという意味では本格ではないのかもしれないが、 作者からのヒントはあるから「フェア」な気はする。 なので読後感すっきり。物語として面白かったからどっちでもよし。
2006/2/28 20世紀少年 20巻21巻 浦沢直樹 小学館 ビッグコミックス Amazon.co.jp
ついにキリコ登場。終わりは近い。みんな生きててよかった。
2006/2/27 お家を買おう 尾形未紀 あおばコミックス Amazon.co.jp
ダンナの親と同居する羽目になった主婦が困難を乗り越えて家を買う話…か(?)。 しかし、作者からのメッセージに「これを読んでもお家購入の参考にはなりません」って書いてあるけど、ほんとにそうだった。 でもアットホームなちょっと良い話しで、火曜日フジテレビ系列でドラマ化するにはぴったりかも。
2006/2/25 エナメルを塗った魂の比重―鏡稜子ときせかえ密室 佐藤友哉 講談社NOVELS Amazon.co.jp
パターン的には前と同じ。複数の視点で語られるパーツ的な事件→最後に全員集合→謎解決(してないけど)。 伏せられている謎が多すぎるのも、まあサーガの一部分としてみればよいだろうし、 ○○が実は××だったというのも、ルールだと思えばいいのかも。要は慣れ。
特別な目的のために集められたクラスというのは△△みたいでいいね。
2006/2/22 フリッカー式―鏡公彦にうってつけの殺人 佐藤友哉 講談社NOVELS Amazon.co.jp
前半のテンポが遅いのは、わざとか。やるならはやくやれ、とか思っていたのだが、最後にきて全員集合のどんでんがえし。スピードアップ。 ミステリとしては卑怯な展開(ありっちゃあり)。だけど狂った登場人物(たち)のストーリー(サーガ)としては今後面白くなる可能性を秘めていると思う。
2006/2/19 銀齢の果て 筒井康隆 新潮社 Amazon.co.jp
姥捨山ならぬ老人版バトル・ロワイヤル。少子化問題の相対的解消。 「こんな世の中を作ってきた結果殺し合いをさせられている老人たち」という問題提起もされているわけだが、それは後付けで、 最初はただ戦って、殺し合いをして、勝ち残るというだけの話を書きたかったんじゃないだろうか。 殺し合いの極限において老人達の老獪さやキレ具合が増大し、エロスやタナトスの再発見があったり、「生き生きとした」個性が出てくるという。 なんだか楽しそうな爺さん婆さんたちなのだった。筒井康隆ならではのブラックユーモアで、陰惨さはほとんど感じられない。
楽譜付きの「葬いのボサ・ノバ ソニア・ローザに捧ぐ」(詞・筒井康隆、曲・山下洋輔)、聴いてみたいな。
2006/2/18 妊娠小説 斎藤美奈子 ちくま文庫 Amazon.co.jp
望まない妊娠を扱った小説を「妊娠小説」と定義することから始まるこの本は、抱腹絶倒の文芸評論。 妊娠小説とはまるで歌舞伎のような「様式」を持つジャンルだったのだ! 妊娠小説の中で時として顔を覗かせる謎の語り手(=作者)。妊娠小説なだけにうっかり地雷を踏むことも多いようで−。 斎藤美奈子はそれを決して見逃さない。でもそれもきっと文学に対する愛なんだよね、愛。
2006/2/14 ユリイカ 2005年9月号 特集 水木しげる 青土社 Amazon.co.jp
妖怪から入らずに戦争漫画から入るあたりがユリイカっぽい(のか?)。いろんな人がいろんな分析したり昔話をしたりとなかなか面白かった。 対談や漫画もついてお得。年表も付いてるから資料としてもきっと役に立つはず。
2006/2/13 黒鷺死体宅配便 1巻 大塚英志 山崎峰水 角川コミックス・エース Amazon.co.jp
木島日記とか多重人格探偵サイコと違って一話完結なのと軽いストーリーなのが読みやすい理由か。 でも『怪』に番外編が載ってるし、この先どこかで大きな話につながっていくのかもしれない…。ゆっくり読もう。
2006/2/12 悪魔くん千年王国 水木しげる ちくま文庫 Amazon.co.jp
失敗してしまった「革命」というものに再度挑戦する悪魔くん(そして狂人のような12使徒)の姿には哀愁さえ漂う。何千年に一人の異能児であっても「大きな物語」の終焉という未来を予測することは不可能だった。
しかし今回すごいと思ったことは、使徒の幽霊とポリの会話(ちくま文庫版、322頁)。
「しかしお金の中にそんなに幸福がかくされているのですか?」
「貧乏な人にはそうなのでしょう」
「でも一日になん千万円ともうける人はなんでしょう!? どんな心境でしょう!?」
「それはゲームをしている心境でしょうなあ! 自分の会社を大きくするゲームです!」

うーん、既視感。すごいなあ、水木翁!

2006/1/31 白夜行 東野圭吾 新潮文庫 Amazon.co.jp
美しくも悲惨で残酷な人生の逃避行物語は一気読みするに限る。 幼い時の環境(あるいは事件)に端を発する事件、それを執念深く追い続ける刑事というのはありがちな設定というか王道パターンではあるが、 この話がなぜこれだけ面白いのかというと、主要な事件のポイントとそのちらつかせ方、すなわち"点と線"の使い方がとても上手いからなのだと思う。
2006/1/30 美しい星 三島由紀夫 新潮文庫 Amazon.co.jp
SF風味のエンタテインメント小説のようでもあり、観念小説のようでもあり。 前者としての文章を書くにあたって三島はずいぶんと楽しんだんじゃないだろうか。 自分が書いた歌舞伎「鰯売り…」に言及して、登場人物に「こんな小説書きの新作物なんか見るに及ばない…」と言わせるあたり。 そして、後半の破滅vs救済というテーマで滔々と語られる宇宙人同士の会話(ほぼ演説)は、ドストエフスキー「カラマーゾフの兄弟」の「大審問官」や埴谷雄高「死霊」の兄の告白などを彷彿させる。
全体的にキリスト教的な題材とモチーフが多用されている(処女懐胎、破滅と救済、終末、犠牲、ラッパとともにやってくる軍隊…)が、救済されるのかどうか非常に不可解な結末である。 最初は東浩紀が言うところの「ヘーゲル的な全体性への憧れが生き残ったジャンルであるSF」(郵便的不安たち#、「ハムレットとしてのSF」)の世界観を皮肉っているようにも思えたのだが、 どうもそれだけじゃない三島の美的感覚が鏤められているようだ。理解不足にて読み解けず、そのうち再読しよう。
2006/1/29 NANA 14巻 矢沢あい 集英社 Amazon.co.jp
停滞している印象。予感はあるけど破滅的なことは何も起こらず。
2006/1/23 宇田川心中 小林恭二 中央公論新社 Amazon.co.jp
三人吉三や白浪五人男を連想させる登場人物やモチーフが出てくるのが嬉しい。黙阿弥(河竹新七)本人もちょい役で登場。 しかし、何代にも渡って繰り広げられる因果応報の愛の物語だと思っていたら、途中からSFX的な映像が目に浮かぶような展開に…。 それにしても、ここまで因果応報がはっきりしてると、死ぬのもそれほど怖くないような気がしてくる。ここらへんが仏教文化とキリスト教文化の違いなのだな。
2006/1/20 マヂック・オペラ 二・二六殺人事件 山田 正紀 早川書房 ハヤカワ・ミステリワールド Amazon.co.jp
検閲図書館(オペラシリーズ)第二弾。 一方で壮大な二・二六事件の謎を扱っているのだが、 物語のキーとなる事件は一見取るに足らないもののように思われる「乃木坂芸者殺人事件(N坂の殺人)」のみ。 しかし、それらがどのように交わるかがこの本のテーマである。観念に不浄なものが混在した時、隠蔽しようとしてもそれは瓦解せざるを得ない…。
そしてこの話、N坂…でも分かるように、眩暈がするような乱歩オマージュなのだ。 最初から「押し絵と旅する男」だし、遠藤平吉は登場するし、目羅博士の殺人手法が登場したりもする。こりゃたまらん。 本人もあとがきで書いているように、山田風太郎の明治物を彷彿させるような人物の登場のさせ方もナイスなのであった。
2006/1/17 東京タワー オカンとボクと、時々、オトン リリー・フランキー 扶桑社 Amazon.co.jp
号泣。母の存在そして死というものについて考える。
作者とは年代が近い。もちろん場所や環境は違うが、育った時代背景に懐かしさを感じる部分あり、また羨ましいと思う部分も多くあり。 このオカンはしあわせだ。そしてオカンのことをきちんと回想して言葉にまとめあげられるリリー・フランキーという人も。
2006/1/7 フーコーの振り子 ウンベルト・エーコ 上巻 文藝春秋 Amazon.co.jp
とりあえず上巻だけ再読。ミラノの出版社が出てくるので、旅行中の書として読み始めたもの。 机上の空論、瓢箪から駒、呼ばれて飛び出てじゃじゃじゃじゃーん、火の気のないところから煙り…言い方はいろいろあるが、ゼロから生まれるものはたしかに存在する。 これは本当に怖い話だ。類推する時は気を付けて、落とし穴にも気を付けて。さもないと虚無に殺されることになるから。 ちなみにこの本が出版されたのは1993年。日本の1995年に先がけて、こんなところにヒントが隠されていたのである。