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注意:書評ではなく覚書です。ほんの一部ですがネタバレがあると思われますので読む人は注意してください。敬称略です。

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2006/12/30

スノウホワイト グリムのような物語 諸星大二郎 東京創元社 Amazon.co.jp
SFあり、探偵物あり、風刺物あり、そしてちょっと悲しい話もあり。でも基本的にはしんしんと冷気が浸みるように怖い物語集なのだった。「コルベス様」という話(元の)は知らなかったが、これはもう意味不明なところがとんでもなく怖い。

2006/12/27

パプリカ 筒井康隆 新潮社 Amazon.co.jp
久し振りに夢中で読み進める本に会った気がする。“夢”を扱うと危険な方向に陥ってしまいがちなのだが、結局現実との整合性なんてどうでもよいのだな。夢だと思えば夢、現実(うつつ)だと思えば現実。最後のページがナイス。これは映画も観にいかねば。

2006/12/24

サムライ・ノングラータ 1巻2巻 矢作俊彦 谷口ジロー 小学館 Amazon.co.jp
法水麟太郎なる人物が出てくるというので読んでみた。衒学探偵ではなく外人部隊出身の軍人だった(ノリリンとか呼ばれてるし…)。なぜ『法水麟太郎』なのかは最後まで不明。内容的には1話目を読んだ時に感じたノワールではなく読後感爽快なハードボイルドだった。実はもっと長く続けるつもりだったのかも。

2006/12/24

呪のデュマ倶楽部 アルトゥーロ ペレス・レベルテ 集英社 Amazon.co.jp
大デュマ『三銃士』の手稿と幻の稀覯本「影の王国への九つの扉」という2つの本を巡るミステリ。ビミョー。2つのストーリーが絡み合っていない。2つを綯い交ぜにしてしまう過程に必然性を感じない。まず読みにくいという印象。翻訳と原文どちらに原因があるのか。ミステリ的な「仕掛け」は面白かったが、それは前知識なしに読んだからだと思う。
映画『ナインスゲート』 の原作ということを後で知った。デュマの部分がばっさり切り捨てられているらしい。一応観てみるか。

2006/11/15

奇偶(上)(下) 山口雅也 講談社 Amazon.co.jp
ミステリではタブーとされている“偶然”というものを扱った本。本来ならば大好きなアンチミステリの範疇なのだろうけど後味が悪かった。精神状態が安定しない人たちが出てくるのもとても辛かった。偶然のシンクロニシティに取り憑かれてしまう人の話だからしょうがないのか。読者(観測者)がミステリとして読み解こうとすると偶然の連続に取り込まれる、反対に偶然というものを捉えようとすると物理的な謎が残る。まるで「不確定性原理」のような構造。

2006/11/5

涼宮ハルヒの退屈 谷川流 角川書店 Amazon.co.jp
短編の方がSF色が強い気がする。タイムパラドックスの話が面白い。

2006/11/2

涼宮ハルヒの溜息 谷川流 角川書店 Amazon.co.jp
二作目は青春ストーリーだ。非日常的だけど。喋る哲学猫はそのままでいてほしかった。

2006/11/1

涼宮ハルヒの憂鬱 谷川流 角川書店 Amazon.co.jp
宇宙に存在する思念体とか平行世界的・量子的な概念とかタイムパラドックスとか、割と伝統的なSF要素がこれ見よがしにではなく取り入れられていて、それがラノベのストーリーによくマッチ。というか上手いと思う。この作家氏はSFとかミステリとかいろいろ読んでるんじゃないかな。正体不明の使徒みたいなやつの登場に喜んで、キャラを某アニメに見立てて読んだり。とりあえず「長門有希」萌え。

2006/10/30

ウロボロスの純正音律 竹本健治 講談社 Amazon.co.jp

面白い。でも不満だ。お願いだから続きを。『ウロボロス・0(ゼロ)』でも『ウロボロス・2.5』でも『ウロボロス・Z』でもいいから。あと7年、なんなら10年ぐらいは待ちますから。


2006/10/28

波状言論S改―社会学・メタゲーム・自由 東浩紀 他 青土社 Amazon.co.jp
「わからないな…」(by やもりびと)。特に宮台氏の「あえて」あたりが。そもそも社会学のタームというものを知らないのでとても苦労しながら読み進めていたのだった。しかし、若い社会学者がいろいろ真剣に考えていて、それが自分の領域に近いことが含まれていたりもするので、ちょっと安心したりなんかしながら。とりあえずまた読むべき本がたくさん目の間に積み重なっている。

2006/10/18

邪魅の雫 京極夏彦 講談社NOVELS Amazon.co.jp
途中「絡新婦」的な構図なのかと思ったりもしたのだが、そんなことはなかった(最後の方で京極堂もそこに触れている)。“世界を回復しようとする試み”という個人的に好きなテーマが最初から見え隠れしていたので期待して読み進める。特に今回は閉ざされた世界に住む人物が揃いもそろって勘違いしていて、あの関口君が格好良く見えてしまったぐらいだ。
それにしても民俗学と歴史学の違いで事件を再構築していくあたりはすごいなあ。あ、でも今回“邪魅”そのものに関する言及がほとんどないのはなぜだろう?読者への宿題?

2006/10/10

DEATH NOTE アナザーノート ロサンゼルスBB連続殺人事件 西尾維新 大場つぐみ 小畑健 集英社 Amazon.co.jp
冒頭の矢吹駆のセリフは漫画「DEATH NOTE」の冒頭における“L”のスタンスそのまんま。キラをあぶり出すために死刑囚をTV出演させるのにも躊躇しないあたり。西尾維新の文体は各キャラの萌えというもの(独自の軽さがあるものの)を描写するのにぴったりだと思う。ストーリー自体は“L”を中心に世界が回っている人物たちの閉じた物語。二度読み必須の叙述というミステリの体裁を取っているところも好き。

2006/9/23

封神演義 上中 許仲琳著 渡辺仙州訳 偕成社 Amazon.co.jp
下巻が見つからないので、いったんここまで。これはまるでゲームの世界のよう。妖怪のようなものもたくさん。不思議な武器もたくさん。やっぱり中国4千年の歴史はすごい。人間界と仙人界の間で力の差が混沌としてきたから真ん中を取って新しく神界を作りましょう、なんてそんな世界観がすばらしい。

2006/9/14

メリメ怪奇小説選 メリメ著 杉捷夫訳 岩波書店  Amazon.co.jp
いや、面白い。昔の物語だからといって侮ることなかれ。『ヴィーナスの殺人』 は、現代に翻案してミステリの前振として使えそう。大きな人形(のような像)が動いて殺人を犯す…というのが『黒死館殺人事件』を彷彿とさせる。『熊男』もある秘密を抱えた男が女に振られて最後は血まみれの惨劇という展開がたまらん。語り口はじつにあっさり塩味。

2006/9/5

DEATH NOTE 1〜12巻 大場つぐみ 小畑健 集英社 Amazon.co.jp
どうして死ぬのか、どうやって殺しているのか、といった殺害方法にはまったく重きを置かずに、完全な論理ゲームとして進行するのが面白い。論理だけで死神の存在と死のノートにたどり着かせてしまう展開はすごい。そしてやっぱりわたしはLが好きだ。

2006/8/23

注文の多い料理店 宮沢賢治 集英社文庫 Amazon.co.jp
表題作については、まあいいとして(いや、実のところ奴らが食べられちゃえばよかったのにと思っている)、この文庫には「猫の事務所」が収録されている。何度読んでもじわっと涙が滲む。もっと真剣に読むと号泣してしまうかもしれない。これは差別が駄目だというような単純な話じゃないと思う。獅子が出てきて一喝すると思いきや、「おまえら全員やっぱりなかったことにしよう」という。まったくもって救われない話なのだ。人間界に置き換えるとすごく怖くないか?

2006/8/19

暗黒館の殺人 上下 綾辻行人 講談社NOVELS Amazon.co.jp
十角館以降、水車館も迷路館も時計館も人形館も黒猫館も飛ばして暗黒館へGO。間を読んでいないのにもかかわらず、番外編という感じを受ける。しかし、この本は急がないでよく注意して読むべき本であった。「あれ?」と齟齬を感じたところが多かったのに深く考えず、時として挿まれる謎の視点にいらいらしながら飛ばして読んでいた結果、見事に罠に嵌ってしまったという。でも綾辻の場合、その罠が分かっていく過程がまた楽しいのだった。

2006/8/16

死刑囚042 1巻2巻 小手川ゆあ 集英社 Amazon.co.jp
タイトルと設定に引かれて読んでみたが、実にハートウォーミングな話であった。ぐっときたのは第二章のラストページぐらいか。

2006/8/16

黒鷺死体宅配便 2巻 大塚英志 山崎峰水 角川コミックス・エース Amazon.co.jp
短編から中篇になって、あるメンバーの過去が明らかに。このパターンで行くと、さらに大きな物語になっていくのか。それはないか。

2006/8/6

カンディード ヴォルテール 岩波書店 Amazon.co.jp
歌舞伎に翻案すると面白いかも、と思いながら読み進めていた。しかし結果的に言うと、『カンディード』では歌舞伎的な因果応報の物語は破綻する。悲惨な死を遂げたはずの者は次々と生き返るし、せっかく手に入れたエルドラドの富はあっさりと手放すことになるし、そもそも冒険に出発せざるを得なかった原因である美しいキュネゴンド姫は経年と苦労によって(それが人生というもんだ)醜く変わり果てる。「この世は最善かどうか」という問いが全編を通したテーマ。してその答えは?生き残った者はすべて「しかるべく」。まあ、そういうこった。

2006/8/3

サン=ジェルマン=デ=プレ入門 ボリス・ヴィアン 文遊社 Amazon.co.jp
物資の乏しい戦時中にカフェフロールで原稿を書き続けるサルトル、サルトルをひと目見たくて集まってくる者たち、団体で繰り出すプレベール組、マスコミによって実存主義に結び付けられた穴倉酒場の面々…。カフェやビストロ、酒場の移り変わり…。大戦後のパリはサン=ジェルマン=デ=プレの様子が手にとるように分かる(ような気がする)案内書。当事者による真の歴史書と言ってもよい。なぜならヴィアンは駄文書きによる捏造された“事実”を散々こき下ろすところから始めているのだから。
サンジェルマン広場を鳥瞰する写真が載っているが、現在と殆ど変わっていないところに奇妙なノスタルジーを覚える。

2006/7/26

つきのオペラ ジャック・プレベール 至光社 Amazon.co.jp
夢見がちな子供が夢見る月の世界。でもきっとそれだけではない。妄想なのか願いなのか、それとも逃避なのか。たぶん深淵すぎて根本的なことを理解できていないと思う。絵は『みどりのゆび』の挿絵を描いたジャクリーヌ・デュエムによる。楽譜付き。どんな音楽なのだろう?

2006/7/24

みどりのゆび モーリス・ドリュオン 岩波書店 Amazon.co.jp
フランスの児童文学だということを最近知った。小学生のとき感動したあの気持ちを思い出した。挿絵もなつかしい。素直な感動は少し減った気もするが、これは私が汚れちまったせい。一方で、フランス文学ならではの表現や言い回しに気づくことができたのは、大人になったから。この本の言い回しだと「古いかんがえは、ずいぶんむかしから、本のなかにかいてあります。…(頁12)」 ということになる。

2006/7/22

ニューオリンズの白デブ吸血鬼 アンドルー・ジェイ・フォックス アンドリュース・プレス Amazon.co.jp
脂肪分たっぷりのニューオリンズ市民の血を吸い続けたあげくに超肥満に悩む白人吸血鬼(昔は美形だった)が主人公。なぜか新参の黒人悪党吸血鬼に狙われるというストーリー。政府の対吸血鬼組織も登場してはちゃめちゃの展開に…。心臓に杭を打たれると灰になる、日光で死ぬ、大蒜と教会に弱い、棺桶で寝る、狼や霧や蝙蝠に化ける、といった吸血鬼の属性はすべて備えているところが嬉しい。吸血鬼を増やしすぎると食料が足りなくなるという現実的(?)な問題も交えつつ、最後は「やっぱり俺は権力よりもニューオリンズ市民の美味い血と音楽が好きなだけなんだ」というほろりとする展開に。映画化する際はぜひとも太ったデカプリオに演じてもらいたい。
2006/7/21 ばんばんバンコク―女たちの過熱灼熱タイ旅行記 よねやまゆうこ 光文社 Amazon.co.jp
タイ旅行のエッセイ漫画。ごちゃごちゃしていて見づらい。文庫版だからか。旅のレベルとか物の趣味は人それぞれなので、参考になる情報とそうではない情報がごった煮状態。行ったことがある人が読むと面白いのかも。それでもゲロ甘・激辛マーク付きの食べ物レポートは参考になりそう。
2006/7/21 呪物館 人工憑霊蠱猫 化野燐  講談社NOVELS Amazon.co.jp
“館もの”しかも“密室登場!”と思ったら、すごい理論であっさりかわされた(こういうの好き)。しかし呪物館の存在そのものが大きな鍵を握る。館の仕掛けが過去の話に関係しているのも気になるところ。全編を通して戦闘が繰り広げられ、負けた者は次々と死んでゆくが、果たしてその驚愕の結末やいかに…。それにしても能力者の力ってすごい。ひょっとして私もバトルに勝てるかも。
そう、今回は蠱猫と小さい白澤が強力な形成場で実体化してるのも嬉しい。白澤はまだやんちゃな子犬サイズだが、ちゃんと戦闘するし、お利口になってるし。
2006/7/18 彩紋家事件 後編 下克上マスターピース 清涼院流水 講談社NOVELS Amazon.co.jp
袋綴じ部分で一挙に面白さが爆発。やられた。ウルトラC。我慢して読んでいて良かった。「○○傾性(ちゃんとした心理学的モデル)」とか「○○を残さないのがプロの○○ってもんだ」(読んでない人に怒られたくないので伏字)という理論ですべて解決済みのハンコ。勿論こちらも端からひとつひとつの事件が解決することなど望んではいない(『カーニバル』を通過した人間はそんな些細ことでは怒りを覚えない)。JDCメンバーも続々と登場。言霊使い(ワーディシャン)も爆発。半村良の伝奇小説を思わせる謎の集団(日本史の裏で暗躍する集団)も登場するし、それが今後のJDC作品にどうかかわってくるのかが楽しみ。
2006/7/14 鋼の錬金術師 12 13 荒川弘 スクウェア・エニックス Amazon.co.jp
物語が収束しようとしている。マスタング大佐は軍部に食い込んでいるし、エドとアルは扉の秘密に迫っている。ホムンクルスもスカーも、それぞれの事情を抱えているというだけで、ますます憎めない人物像に思えてきた。あとは“父親”の正体が鍵だな。
2006/7/13 舞姫(テレプシコーラ) 4 山岸涼子 MFコミックス ダ・ヴィンチシリーズ メディアファクトリー Amazon.co.jp
バレエの他にもなんだか学校のいじめ(たぶん)とかのファクターが入ってきたりして、ストーリーが現実味を帯びてきた。主人公がまだ小学生なので、海外で踊るプリマに成長するまでの道のりはまだまだ長い。それにしても、この漫画を読むと、柔軟体操をしたくなるのだった。
2006/7/9 彩紋家事件〈前編〉極上マジックサーカス 清涼院流水 講談社NOVELS Amazon.co.jp
何回か本気で投げ出そうかと思った。奇術の説明が長い。どうにものめり込めない。螽斯太郎というおっさん探偵に萌えないのも原因の一つか。途中から役所広司が演じていることに脳内変換して読みつづけたという。