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注意:好きな時に好きな本を読むのがモットー。書評ではなく覚書です。ほんの一部ですがネタバレがあると思われますので読む人は注意してください。敬称略です。

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2008/12/25 ユリイカ 増刊号 総特集=初音ミク 青土社 Amazon.co.jp
色々な人がさまざまなミクたんを視聴してあれこれ言っているのは面白いのだが、まだまとまりがない印象。ミク自体がまだ過程にあるので、とりあえず祭り本ってことで。
2008/12/15 名作マンガの間取り 影山明仁 ソフトバンククリエイティブ Amazon.co.jp
読んだというか眺めたというか。CADソフトを使ってみたくなった。
2008/11/22 嘘つきみーくんと壊れたまーちゃん 入間人間 電撃文庫 Amazon.co.jp
痛すぎる話。この世界には魔法使いも超能力者も出てこないし、人類最強とか人類最悪といった特別な人間も存在しない。いるのは死んでしまった被害者とか生き残ってしまった被害者とか犯人とかちょっと頭のネジがはずれた人間たち。このヒロインはこれまでのアニメのヤンデレ系キャラとはちょっと違う気がする。考えがうまくまとまらないのであとで考える。
2008/11/22 空の境界 未来福音 竹箒
同人誌が現在どういう状況になっているのかよく分かっていないのだが、これはすごい。武内と奈須だからできるレベルなのかもしれないが、書籍としてちゃんとしている。なぜ出版社じゃなかったのか。これを見せられたら本に関わる人は書籍そのもの(流通も含めて)について考えなくてはならないだろう。というか、とっくにそういう時代に突入しているのはたしか。
内容に関しては二人の○○らしき人物が登場したりするのが、泣かせるじゃないか…。未来に誰かしら幸せであるならばそれでよい。
2008/11/22 哲学者の密室 下 笠井潔 光文社文庫 Amazon.co.jp
犯人の正体は覚えていたのだが、それ以外の多くをすっかり忘れていた。おかげでいろいろ考えながら再読することができたので楽しかった。絶滅収容所を目の当たりにしてハルバッハ(=ハイデガー)の死の哲学に絶望した若きナチ将校は、ガドナス(=レヴィナス)が言うところの<ある>を、生きながら死んでいる生を、宙づりにされた死を、“敢えて”生きてしまったのか、とか。ま、結末は全然違うんだけど。
2008/11/15 哲学者の密室 上 笠井潔 光文社文庫 Amazon.co.jp
現象学探偵シリーズ再読。何回読んでも面白いけど、ほかの本が読めなくて困る。この作ではいつになく自信なさげなカケルよりもハインリヒ・ヴェルナーに萌え。
2008/11/3 薔薇の女―ベランジュ家殺人事件 笠井潔 創元推理文庫 Amazon.co.jp
再読。今回は後書き(山路龍天)が優れていることに気が付いた。そのうちもう一回ちゃんと読もう。
2008/10/28 吾輩は猫なのだ 赤塚不二夫 扶桑社 Amazon.co.jp
赤塚家の猫が赤塚不二夫のことを書いたのだ。交友録に家族関係、酒と病気のこと。菊千代は平成九年時に21歳だったという。「食事は自分が食べたいときにしか食べない」しあわせな猫だったのだ。「この齢では、そろそろペンを握るのも辛いものがあるので、長い付き合いになる我が主人、赤塚不二夫に代筆を頼んだことをここにお断りしておく」(序)とのことで、著者が赤塚菊千代じゃないのはご愛敬。
2008/10/21 闇に用いる力学 赤気篇 竹本健治 光文社 Amazon.co.jp
寝かせておいた本。もうかれこれ12年物である。ジャーロで連載が始まったので記念に開けてみた。宗教とかマインドコントロールとか90年代要素がぎっしりで懐かしい味がした。それにしても、これが赤で新しいのが黄色。五色不動で考えるとあと三色だから、12年に一度シリーズが書かれるとして、終了するのは40年ぐらい後(絶望的な予感)。
2008/10/15 黒猫 エドガー・アラン・ポー 新潮文庫 Amazon.co.jp
病気の床で不思議な話を読みたくなるのは昔から。少し読むとはっきり思い出せる。「なるほど巨大渦巻きに巻き込まれたらこうすればいいんだ!」と思ったのは小学生の頃。今回は巻末の年表を見ながら、猫でかろうじて暖を取りながら死んでいった不遇のポーの妻ヴァージニアに思いを馳せる。「江戸川乱歩随筆選」にディケンズとポーについての文があったので気になっていたのだ。不遇のまま貧窮で酒に溺れていくポー。愛する妻に先立たれたのが決定的打撃だった。やがて街角で昏睡した状態で発見されたポーは意識を取り戻さないまま死去。享年40歳。誰か映画化すればいいのに。
2008/10/14 不死の人 ホルヘ・ルイス・ボルヘス 白水社 白水Uブックス Amazon.co.jp
ボルヘスが描く捻れた円環のような世界はまるで多次元の迷宮や宇宙。象徴と寓意に溢れている。いつの間にか別の時空に繋がっていたり煙のようにかき消えたりする。不思議なり不思議なり。風邪の熱に浮かされて奇妙な夢をたくさん見た。
2008/10/6 ミクロメガス ヴォルテール 国書刊行会
フランス革命の前に書かれた話なのに全然古さが感じられない。表題作の「ミクロメガス」は哲学的SF短編。江戸の末期に物語の中に土星の環とか春分点歳差が登場してくるとは。中長編「バビロンの王女」は冒険譚。歴史上の文明を一つの世界の上に構築し直して、恋する主人公たちに追いかけっこさせている。スキタイ、中国、エカチェリーナのロシア、共和制のオランダ…。王女に貞節を誓ったはずの主人公はパリで堕ちた。しかし最後はハッピーエンドで、結婚式では聖牛アピスのローストビーフさえ出されたという(主人公は生き物は食べない国から来たはずにもかかわらずだ)。異端審問官をドルイド僧に例えたりバチカンを七つの丘の老人たちに例えたりしてかなりヤバいことも言っているのだが、啓蒙思想や自国の宮廷のことには直接触れずにうまくかわした感がある。それでも物語の最後には発禁を恐れて「活字と紙とインクを買うのもやっとだと云う私の印刷工に、彼らがことさら迷惑を掛けることなきよう、私を守り給わんことを!」などという文章を付け加えていたりもする。ほんと面白い人だなぁ、ヴォルテールっで。
2008/10/3 国のない男 カート・ヴォネガット 日本放送出版協会 Amazon.co.jp
ヴォネガットの遺作エッセイ集である。ユーモアに溢れているのは相変わらずだが、アメリカに対する批判が鋭い──というか容赦ない。「ジョージ・W・ブッシュは自分のまわりに上流階級の劣等生たちを集めた(中略)クリスチャンとしても知られているが、何より恐ろしいことに、彼らはサイコパスだ(以下略)」。これがベストセラーになるアメリカという国もそろそろ何かに気が付いているのか。
2008/9/28 赤塚不二夫のことを書いたのだ!! 武居俊樹 文藝春秋 Amazon.co.jp
「レッツラゴン」の武居記者が赤塚不二夫のことを書いた。兎に角読むのだ!(と言ってもこれが書かれたのは何年か前のこと)作品やキャラが生まれてきた背景にはいろいろあったんだなあ。編集者の視点で書かれた本は面白い。不屈の猫ニャロメって、最初は場面の切り替わりに登場してたんだ。赤塚先生、はちゃめちゃな漫画家人生だったけれど、寂しがりやで甘えん坊で、人間が好きな人だったんだな。最近他界されたので最後はしんみり。
2008/9/26 江戸川乱歩随筆選 江戸川乱歩 ちくま文庫 Amazon.co.jp
「貼雑年譜」欲しい熱再燃。あらためて乱歩の凄さを思う。文章にはまったく古さが感じられない。事件が起こるたびにリアルとバーチャルを混同したコメントをする物知り顔の評論家などは「探偵小説と瀉泄」を一度読んだ方がいい。その際「探偵小説」を「ゲーム」に置き換えてみること。
2008/9/17 陰陽師 瀧夜叉姫 上下 夢枕獏 文藝春秋 Amazon.co.jp
積んでおいたら文庫化されてた…。映画のイメージが付いてしまった感があるが、読み始めるとすぐにそういったものは一切払拭されてしまった。シリーズ中で一番面白かった。事象と事象を繋いで結末へ持って行く構成力も素晴らしいし、文章も詩的で流れるよう。ライトノベル的なジャンルとそうでないものについてちょっと考えた。
2008/9/14 ウケる数学! 大輪教授 飯高茂 メディアファクトリー Amazon.co.jp
むちゃくちゃな例が出てくるけどとても分かりやすい。おかげさまで中学の数学を思い出すことができた。中学校教育ではもうちょっと確率の授業をちゃんと教えた方がいいんじゃないかな。かくいう私も昔はきっちり答えのでない確率を好きになれなかった。しかし大人になった今、確率はすごく実用性が高いような気がしている。別にギャンブルとかじゃなく。参考文献は「数学で犯罪を解決する」あたり。
2008/9/7 完全犯罪―フェアリー 萩尾望都 小学館文庫 Amazon.co.jp
正直、甲斐某の音楽がテーマになっていると知っていたら読まなかったと思う。
2008/8/31 リアルのゆくえ おたく/オタクはどう生きるか 大塚英志+東浩紀 講談社現代新書 Amazon.co.jp
バトルの雰囲気もありならがも世代間ギャップはそれほど感じなかった。両方の言ってることが分かる(気がした)。大塚氏の「じゃ、なんで批評やるの」的な苛立ちも攻撃的な立場も。考えてみるとわたしは両者の間の世代なのだ。物心付いた時にはバブルだったという我々は、思想地図的には中途半端な位置にいるような気がしないでもない。それにしても東浩紀がやって(言って)きたことは確実に世の中に浸透しているという気がしている。彼が出してきた手紙は色々なところに届いているはず。この本の中で「ネットの空気を読む」という話が何度も出てきていたけれど、彼はたしかに(ネットだけではない様々な)空気を的確に読んでいると思う。ただ単にその空気の中に入り込むことはしない。彼の秋葉原事件の後の発言には特に注目していたのでこの本はとても面白かった。
2008/8/21 或る「小倉日記」伝 松本清張 角川文庫 Amazon.co.jp
厳しい時に厳しい人生の話を読んでしまった。基本は(仮名)な人の報われない一生を描いた短編集。推理小説ではない。エキセントリックな人が自分自身のせいでどうなろうとまあそれはある意味仕方がないとして、「父系の指」だけ別の色を持つ話で特にやりきれなくなった。聞くところによると自伝的話だという。清張といえば社会派ミステリではあるが、人生の暗い部分とか社会の暗い部分とか、割とどうにもならない宿命的なものを描いているという点で共通している。
2008/8/17 水木サンの猫 水木しげる 講談社漫画文庫 Amazon.co.jp
猫が出てくる水木短編集。猫と言っても猫又に化け猫に魔猫に猫忍に猫仙人…etc。水木さんが描く猫のしょぼくれた後ろ姿がたまらなく好きである。背骨の曲がった感じとかとぼとぼ歩く感じとか。リアルな描写から入ってコマごとにだんだん漫画化されていって、振り向いた時には眼鏡をかけて喋ったりする。水木サンはやっぱりすごい。
2008/8/12 剣鬼喇嘛仏 山田風太郎 徳間文庫 Amazon.co.jp
最後の忍法帖と呼ばれている一冊らしい。覚えのある話も含まれているのだがどの短編集で読んだのかはすっかり忘れた。「伊賀の散歩者」で爆笑。タイトルで「おや?」と思っていたのだが、二銭銅貨の符牒あたりではたと気が付いた。後は素晴らしくも馬鹿馬鹿しい怒濤の乱歩オマージュ。振り返ってみれば、主人公が衆道好みで若禿の歩左衛門、姉の名がおらんというあたりで気が付くべきだった。
2008/8/4 ありんす国伝奇 山田風太郎 時代小説文庫 富士見書房 Amazon.co.jp
「怪異投げ込み寺」には覚えがあるのだが、この本はどうやら読んでいなかったらしい。山田風太郎が吉原で一冊。面白くないわけがない。というわけで、いま頭の中は花魁言葉が渦巻いている。ありんす、くんなまし。
2008/7/31 青銅の悲劇 瀕死の王 笠井潔 講談社 Amazon.co.jp
矢吹駆の日本編スタートということで期待が高まっていたのだが、色々な意味で裏切られた。物語の構造は、『熾天使の夏』と矢吹駆シリーズを結びつけ、さらに(おそらくは)天啓シリーズにもつながるという壮大なものである。ただし、この本は“物語”に重きを置いたものではなく、ほぼ前編に渡って完全なパズラーだ。今回はその部分にしてやられたという感じ。800頁の分厚さはそこに収束するために必要だった、と言っておこう。
2008/7/25 数学で犯罪を解決する キース・デブリン ゲーリー・ローデン著 山形浩生 守岡桜訳 ダイヤモンド社 Amazon.co.jp
アメリカのテレビドラマ「NUMB3RS」に登場する数学の解説書。これは面白い。「NUMB3RS」は毎回兄のFBI捜査官が数学者の弟の助けを借りて事件を解決するというパターンらしい。残念ながらまだ見ていない。囚人のジレンマ、ゲーム理論、ベイズ推定などなど、聞いたことはあっても詳細が今ひとつ分からなかったものがたくさん解説されていて、とても面白く読んだ。インターネットのデファクト技術となっている公開鍵などの暗号系の話も分かりやすかったし、ネットワーク理論のイメージも掴みやすいものだった。あのケビン・ベーコン数も歴とした数学なのだ。それにしても数学は凄いね。実際にテロを水際で検出するためにどのように数学が用いられてのかがようやく分かってすっきり。ニュースで見るたびに謎だったので。
2008/7/21 血みどろ砂絵 なめくじ長屋捕物さわぎ 都筑道夫 角川文庫 Amazon.co.jp
なめくじ長屋とは雨の日には稼ぎにならないものもらいや大道芸人ばかりが住んでいる長屋のこと。仲間が殺されても「非人は、常人の七分の一の身分しかない。下手人をとらえてほしければ、あと六人が殺されるまで、待つがよい」と言われてしまう「人別外」のひとたちの回りで起こるさまざまな事件。合理的精神の持ち主である砂絵描きのセンセーが謎を解き明かす。謎が解けてめでたしで終わるのではなく、センセーは仕掛けを行い関係者と取引をし容赦なく選択を突きつける。生きていくために自分たちを守るために。
単なるパズラーじゃつまらない。その点都筑道夫が書いたのは生き生きとした人間の物語。化け物仕掛けもある。巷説百物語を読み返したくなった。
2008/7/16 明治開化安吾捕物帖 坂口安吾 角川文庫 Amazon.co.jp
捕物帖とあるが歴とした探偵小説の短編集。手がかりをフェアな形で提示している謎解きもの。安吾本人もまえがきで書いているように、基本的に構成が決まっていて、「虎之介が勝海舟に事件のあらましを説明しに行く」→「事件の内容」→「勝海舟先生が推理(いい感じにハズレ)」→「新十郎の推理(アタリ!)」→「海舟先生が負け惜しみを言うか逆ギレして虎之介に説教。新十郎を出し抜こうとした虎之介がっかり」という顛末。これがなんとも私が思い描いている勝海舟のイメージ通りなのだった。坂口安吾の文章は面白い。軽妙で皮肉もたっぷり含まれているし、まったく古さを感じない。
2008/7/13 およね平吉時穴道行 半村良 角川文庫 Amazon.co.jp
偶然手にした古い日記に綴られていたのは山東京伝の妹およねへの恋心…。時穴=タイムホールか、なるほど。他にもタイトルの雰囲気に騙された点がいくつか。短編なのが残念。
2008/7/12 髑髏検校 横溝正史 角川文庫 Amazon.co.jp
表題作は吸血鬼ものの時代劇ということで必須図書。角川の今月の編集長フェアで京極夏彦編集長がおすすめしている6冊。スペシャルプレゼントの荒井良さん作「ゲゲゲ面」がほしい。
ところでこの本にはもう一編「神変稲妻車」が収録されているのだが、これがなんとも面白い。歌舞伎的、国枝史郎的、伝奇的、山田風太郎的な素敵要素がたくさん詰まっている。家宝の笛を巡って登場人物が右往左往。全部で3つある笛は1つだけじゃ意味成さないわ、悪人善人含めて登場人物は増え続けるわで、物語は大混乱…。笛はあっちへ行ったりこっちへ来たり。誰が味方か敵かも分からず、舞台は江戸から信州へ。笛は役に立たずとも、最後は大団円。ほっ。